甲府の住宅 House in Kofu


















夫婦と子供のための住宅である。
既に家族が所有していた敷地は、市街地から温泉街を通り抜けた先にある扇状地で、市道沿いの日当たりの良い角地だった。
奥さんは、敷地前のバス停や隣人との日常的な視線の交錯を避けたい一方で、カーテンを閉めなくても過ごせるような開放的かつプライバシーが確保された場所を望んでいて、高床式住宅への憧れを持っていた。さらに毎日布団を干す習慣から布団が干しやすい事、アイアンや木を使った既存家具がたくさんあるので、それらとの統一感あるインテリアを希望していた。旦那さんは人を招いて食事が出来る対面型キッチンとゆったり入れる浴室を求めていた。
そこでまず、1階を玄関から1.8m上げた。
1.8m上げると住宅地域の高さ規制に引っかかってきたため、北側が下がった屋根形状として規制をクリアしつつ形を整えた。
メインのスペースを中央に置いて、1階はリビングとダイニングキッチン、2階は寝室とした。
その周りにピアノスペースと勉強スペースを配置し、それらがメインスペースと外部のバッファーゾーンになるようにした。メインスペースにいるとピアノスペースや勉強スペースがあって、その先に窓があって外がある。というかたちで、プライバシーが確保されつつ、窓からの明るさを同時に感じ取れる。
さらにピアノスペース・勉強スペースの上部は、それぞれ2階の寝室から直接つながる屋上となっていて、布団を外に干すことが苦にならない。
無垢フローリングやカーブが特徴的な木製扉は、既存家具と現場で数回にわたって色合わせをして仕上げた。壁と天井は左官仕上げ、旦那さんの希望であったキッチンや浴室は黒系統の色としてTVやアイアンの雰囲気とそろえ、全体として統一感のあるインテリアとなった。